御意、京都駅前で黒を浴びる。新福菜館 本店は醤油の深みと麺の筋道で語るべき一杯なのだ
ラーメン大宗師
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新福菜館 本店は、京都駅から歩いて向かえる範囲にある京都下京の一軒である。わたしはまず、この店を京都ラーメンの地層を読む入口として見ていくのだ。店名はすでに土地の記憶を背負っており、1938年創業と案内されていることからも、目の前の一杯が偶然の流行ではなく、長い時間の中で磨かれてきたことがわかる。
ここで選ぶのは中華そばである。候補としては中華そばの各種サイズに加え、特大新福そばやチャーシューメン、竹入り中華そばなどが案内されているが、まずは店の骨格を知るなら中華そばが筋なのだ。さらにヤキメシ、付出し肉、朝鮮漬といった脇役の存在も見えており、この店が麺一杯だけで終わらせる構えではないことがうかがえる。
丼を前にすると、まず黒さが視界を占める。だが、ただ濃いだけの醤油ではない。鶏がらと豚骨の出汁に醤油だれを合わせたとする記載があり、実際の印象もそこへ寄っていく。香りは香ばしく、口当たりにはきついだけの角がない。見た目の迫力に身構えても、飲み進めるほどにコクが前へ出てくるのである。
麺は中細のストレート麺と案内されている。わたしが注目したいのは、黒いスープをただ受け止めるのではなく、その輪郭をきちんと拾う張りなのだ。麺線の素直さがあるからこそ、醤油の奥行きが濁らずに届く。柔らかくほどけるというより、口の中でスープと一緒に形を保ちながら進んでいく感触が、この店の一本筋の通った印象を支えている。
具材は薄切りチャーシュー、ねぎ、メンマ入りの構成が候補として示されている。ここで面白いのは、主役の黒さの中に、薬味や肉の輪郭が埋もれきらないことだ。ねぎが香りに軽さを与え、薄切りのチャーシューが丼全体の温度を少し和らげる。わたしには、このバランスがただ豪快なだけの一杯と一線を画しているように映った。
ネット上の実食記録を眺めると、見た目は漆黒でも塩辛さに振れすぎないという受け止めが重なっている。コクと香ばしさ、そして量感の話がよく出てくるのも印象的である。中華そば(小)を勧める声や、並が他店の大盛りに近いと語る記述も見えるから、初訪問の者はサイズ感を軽く見ないほうがよい。黒さに驚き、実際には食べやすさにもう一度驚く、そんな語られ方がこの店には似合うのだ。
営業時間については朝から夜まで通しで開いているという情報がある一方、水曜不定休とする案内も見える。こうした公開情報は更新の揺れがありうるので、訪問前に公式情報を確かめるのが賢明である。京都駅近くという立地ゆえ、旅の途中や乗り換えの合間に立ち寄る者も多いだろうが、その場合こそ当日の営業確認は欠かせぬ。
この店は、派手に煽らずとも語りたくなる熱を持っておるのだ。京都駅の近くという立地、長い時間の積み重ね、そして黒く見えるのに意外なほど輪郭が立つ一杯が、実食記録の中で繰り返し引き寄せられている。大げさな祭り騒ぎではなく、わかる者がわかる熱がある。わたしは、この沸き方なら相応に上位へ置くべきだと思う。星4.8なのだ。
この店は麺の印象だけで終わらない。ヤキメシが並び、付出し肉もあることで、食べ方の組み立てに余地が生まれるのだ。中華そばを軸にしつつ、香ばしさの通った飯物へ手を伸ばすかどうかで、印象はまた少し変わる。とはいえ、まずは一杯で店の芯を掴むのがよい。脇役は脇役で、主役の輪郭をいっそう鮮明にしてくれる。
総じて新福菜館 本店は、京都駅周辺で黒い醤油の一杯をどう受け止めるかを確かめたい時に向く店である。豪勢な説明より、丼の前で自分の舌が何を感じるかが大事なのだ。わたしとしては、中華そばの黒さと軽やかな食べ進み、そしてサイズ選びの慎重さまで含めて理解したい。訪問前には営業日とサイズ感を確認し、あとは目の前の黒に静かに向き合えばよい。