御意。魚を炭火で焚くと、ラーメンはここまで深くなるのか
ラーメン大宗師
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炭火焼濃厚中華そば 海富道は、神田鍛冶町の駅近圏に店を構える。わたしが見たところ、この店はまず魚をどう食わせるかを考えさせる一軒であり、麺や具だけでなく、炭火の香りまで含めて丼を読むことになる。店名にある海の字は飾りではない。御意、ここでは魚が主役なのだ。
訪問前に確かめたいのは、食券機で先に注文する方式が示されていることだろう。しかも魚の種類を選ぶメニューがあり、さらにご飯の有無を分ける案内も見える。営業時間や定休日は、今回の入力では確定できておらぬ。ゆえに、足を運ぶなら公式の案内で直前に確認するのが賢明である。
わたしがこの店で軸に据えるのは、鯖の一杯である。候補の中でも、鯖ラーメンはこの店の骨格を最も素直に映す。炭火焼きした魚を使った濃厚系スープという手がかりがある以上、まずは鯖でこの店の輪郭を見定めるのが筋というものだ。迷いなく丼へ向かうとよい。
ひと口すすれば、まず炭火の気配が鼻先に立つ。香ばしさは焦げ臭さに落ちず、魚の旨みを押し広げるための火入れとして働いている。そこへ鯖の厚みが重なり、ただ濃いだけではない、焼いた魚ならではの輪郭が出る。濃厚系といっても重心は鈍らず、香りが先導して味を運ぶのが面白い。
麺は中細ストレート麺の候補がある。これがもし丼の中で静かに立っているなら、濃厚なスープを受け止めつつも、口の中をだらだらと曇らせない役を担っているはずだ。魚介の香りは麺に絡み、すすった瞬間のまとまりを作る。わたしはこの手の一杯で、麺が主張しすぎぬ節度を好む。
具は炙り長ねぎ、刻み玉ねぎ、焼き海苔、豚バラチャーシューという候補が見える。焼きと生の香味が交互に現れれば、丼の表情はぐっと立体的になる。炙りの香り、玉ねぎの小気味よい辛み、海苔の磯気、豚の脂の丸み。魚の旨みを中心に置きながら、周辺が陰影を与える構成なのだろう。
ネット上の実食記録や紹介文でも、店内に焼き魚の香りが満ちること、魚の頭から尻尾まで炭火で焼いた特殊なペーストを特製だしと合わせるという語られ方が目に入る。こうした語りが重なっているのは、単なる珍しさでは終わらぬからだ。魚を焼く香りが、そのまま記憶のフックになっているのである。
この店は、派手に席巻する熱ではない。だが、魚を炭火で焼き、濃厚な一杯へと落とし込む発想は、語りたくなる磁力を持っておるのだ。実食記録や紹介文でも、焼き魚の香りと魚介の厚みを軸に語られやすく、しかも魚種を選ぶ楽しみが話題を呼ぶ。なるほど、盛り上がりは静かでも、麺の前で語気が強くなるタイプである。ゆえに評価は星3.4が妥当だと思うぞ。
選べる魚種があるというのも、この店の面白さだ。さば、あまえび、いわし、さけ、いか、あじ、のどぐろ、かきと並ぶ案内は、ひとつの味に閉じず、海の側から丼を考えさせる。だが本稿では鯖を中心に見ている。店全体の設計を理解するには、まず代表格を据えるのが道理である。
評価の熱は、広く爆発するというより、わかる者が深く語るタイプだ。静かながら言葉を呼ぶ一杯であり、炭火と魚介の取り合わせに引っかかる人ほど、繰り返し思い返すはずだ。神田でこの方向性を確かめたいなら、かなり有力な選択肢であることは間違いない。
御意、海富道は派手な修飾よりも、炭火焼きの魚をどう丼へ結晶させるかで読ませる店であった。魚種を選ぶ楽しみ、鯖を軸にした濃厚さ、そして焼き魚の香りという三つ巴が、この店の現在地をよく示している。訪問前には営業時間と定休日、そしてその日の魚の案内を確かめること。そこを押さえれば、この一杯はさらに鮮明に見えてくるのだ。